むち打ち
むちうち損傷の素因減額
むち打ち損傷の場合、外傷の程度が軽度であったり、他覚的所見がない場合でも、疼痛やしびれの症状が強く出て継続することがあります。
被害者に脊椎症や後縦靱帯骨化症がある場合、既往症が関係して症状が発生したり増悪することがあります。また、被害者自身にうつ病的要素があった場合、精神的な面が影響して、症状の継続につながることもあります。
このような場合、すべての症状について交通事故の加害者の責任にするのは公平の観点から問題があるとして、被害者に存在する素因を考慮して損害賠償額を減額されることになります。
これを、「素因減額」といいます。
既往症があるケースでは、素因減額は裁判において過失割合と同じく大きな争点となることが多く、医師の意見書が加害者側から提出されるなどして、さながら医療裁判の様相を呈します。
素因減額は、被害者の体質的素因が個人の身体的な特徴を超えて、「疾患」とまでいえる場合に認められ、素因(既往症)の内容・程度、事故による衝撃度、症状の経過、程度をふまえて、具体的事案に応じて減額の程度(3割減額など)が決められます。そこには、裁判官の広い裁量が認められるのです。
素因減額は、法律上非常に難解な争点で、裁判においては専門的な主張・立証をしていく必要があるため、専門の弁護士が行う必要があります。
交通事故で素因減額が問題になる場合は、早期に弁護士を依頼することをお勧めします。