解決事例
近寄る車を避けようとして自転車ごと畑に転落して負傷、14級の後遺障害が認定された事例
1.事故状況
Aさんが自転車で道路左側を通行していたところ、前方から車が近づいてきたので道端に自転車を止めて待っていました。しかし車が接触しそうになるまで近づいたので、これを避けようと後ずさりをしました。道の端は斜面になっていたので、Aさんは自転車と一緒に下の畑に転落しました。
Aさんは転落時に左手をついて、左尺骨骨幹部骨折、左撓骨頭脱臼の傷害を負い、病院へ救急搬送されました。Aさんは手術を受け、1週間入院となりました。
その後、術後感染が発生したので2週間の入院を余儀なくされました。さらに1年半後、偽関節が生じて骨折部分の再生が止まり、骨移植による手術を受けました。
Aさんは通院による治療を継続して、事故から2年7か月後に症状固定となりました。
2.相談のきっかけ
Aさんの症状固定後、ご家族が当事務所のホームページを見て相談に来られました。ご家族は弁護士と面談の後、今後の損害賠償についての示談交渉を弁護士に委任されました。
3.弁護士の活動
弁護士は診療記録やMRI画像を取り寄せ詳細に分析しました。Aさんの後遺障害は骨折や偽関節発生により、左前腕関節が健側の3/4以下に制限されているため、「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」に該当するので12等級の後遺障
害に該当すると主張しました。
また、左尺骨骨幹部骨折、左撓骨頭脱臼による左肘外側の疼痛について、腕撓関節に関節性変化が認められることから、「局部に頑固な神経を残すもの」として12等級の後遺障害に該当すると主張しました。
これに対し自賠責調査事務所は、左肘外側部痛の症状については、骨折の状態、症状経過、治療経過等を勘案して、将来においても回復が困難と見込まれる障害として、「局部に神経症状を残すもの」として14級の後遺障害と認定しました。
4.弁護士関与の成果
後遺障害認定が確定したので、弁護士は相手側保険会社と示談交渉に入りました。
示談交渉で大きな争点になったのは入通院慰謝料、逸失利益、後遺症慰謝料、過失割合でした。
Aさんは長期にわたる治療期間において何度も入院をしています。しかし相手方保険は、個々の入院期間や通院日数は少ないとして、非常に低い金額を提示しました。これに対し弁護士は、長期(2年)にわたる治療期間に対して考慮すべきであると主張し、大幅なアップを認めさせました。
逸失利益については、相手方保険会社は労働喪失期間を3年という非常に短い期間を提案しました。弁護士は後遺障害の重大性から労働喪失期間は5年を下回ることは出来ないと主張し認めさせました。
後遺症慰謝料については、当初相手方保険会社は基準金額より1割程度低い金額を提示したので、受け入れられないとして基準金額を認めさせました。
過失割合について、当初相手方保険会社はAさんの過失を3割と主張しました。弁護士は警察の刑事記録から、自転車を止めて待避していたAさんに対して、相手方は安全不確認のまま車を進行させ、危険を感じて後退し斜面を転落したAさんには過失はないと主張しました。
弁護士は相手方保険会社と厳しい交渉を続け、早期解決のためにAさんの過失割合を1割とすることで示談を決着させました。
弁護士の交渉により、総額で51%アップ、治療費等を除いた金額で109%のアップとなりました。
保険会社提案金額 | 和解額 | |
治療費、交通費等 | 170万円 | 170万円 |
通院慰謝料 | 120万円 | 172万円 |
逸失利益 | 72万円(5%3年) | 92万円(5%5年) |
後遺障害慰謝料(14級) | 100万円 | 110万円 |
合計 | 462万円 | 544万円 |
過失割合 | -139万円(30%) | -54万円(10%) |
合計 | 323万円 | 490万円 |
5.弁護士の所感
Aさんは殆ど過失がないにもかかわらず、事故により2年以上にも渡る治療を余儀なくされ、後遺症が残りました。これに対して相手方保険会社の最初の損害賠償額の提示金額は驚くほど低いものでした。
相手方保険会社は、被害者の事情には斟酌せず、できるだけ賠償金額を抑えようとします。そのため、最初の提示額はかなり低く抑えてくるのが普通です。これに対し、被害者が一人で交渉し対応するのは大変な労力を要します。
被害者の方が示談交渉の負担を減らすために、弁護士に交渉を委任するのは有効な手段です。弁護士は多くの事例を経験しているので、相手方保険会社の意図を的確に読み取り、有効な対応策を打つことができます。
示談交渉のための費用やストレスを軽減するために、任意保険に弁護士特約を付けておくことをお薦めします。

高の原法律事務所
所長 坪田 園子
代表弁護士である坪田園子は、「顔の見える関係」を何より大切にしております。依頼者とは、必ず直接お会いして、お話をじっくりとお伺いしたうえで事件をお受けしております。奈良の高の原という奈良の郊外で、地域密着の依頼者対応をモットーとしております。最初は不安な顔で相談に来られた方も、無事に解決した後は、笑顔になって帰られます。一人でも多くの方の笑顔が見られるように精進致します。ぜひお気軽にご相談をくださいね。