コラム
交通事故で骨折|後遺障害の等級認定や慰謝料について弁護士が解説!
2026.01.05 後遺症交通事故で骨折して治療は終わったが、「痛みや動かしにくさが残っている」「後遺障害として認められるのか」「慰謝料はいくらになるのか」と不安を感じている方は少なくありません。骨折による後遺障害等級認定は、医師の検査やや申請方法によって評価結果が大きく変わります。本記事では、骨折で認められうる後遺障害の種類や等級の目安、認定を受けるための重要なポイントなどについて弁護士がわかりやすく解説します。
交通事故で骨折し、治療は終わったものの、痛みや動かしにくさが残っていると感じている方は少なくありません。
日常生活や仕事に支障がでている一方で、これが後遺障害として認められるのかわからず、不安を抱えたまま過ごしているケースも多いでしょう。
実際には、骨折後の症状が正しく評価されなければ、本来受け取れるはずの補償を逃してしまう可能性があります。
この記事では、交通事故による骨折で問題となりやすい後遺障害の種類や等級の考え方、認定を受けるための重要なポイント、慰謝料の算定基準について弁護士がわかりやすく解説します。
交通事故による骨折で認められうる後遺障害等級
交通事故による骨折は、治療が終わればすべて解決するとは限りません。
痛みや動かしにくさが残った場合、後遺障害として等級認定を受けられる可能性があります。
骨折の部位や症状の内容によって認められる障害の種類や等級は大きく異なります。
どのような後遺障害が想定され、どの程度で評価されるのかを把握しておくことは、適正な慰謝料を受け取るために重要です。
以下では、交通事故による骨折で問題となりやすい後遺障害の種類と等級の考え方を整理します。
神経障害
骨そのものが治っても痛みやしびれが残るケースもあります。
これは神経障害と呼ばれ、骨折時に神経が圧迫されたり損傷したりすることで生じます。
たとえば、手首を骨折した後に指先のしびれが続き、物をつかむと違和感がでる事例などです。
こうした症状は、レントゲンでは異常がわかりにくく、評価の目安は次のとおりです。
- 強い痛みやしびれが継続し、日常生活に支障がある場合:12級
- 症状は残るものの、影響が比較的軽い場合:14級
機能障害
骨折の影響で関節が十分に動かなくなると、機能障害として扱われます。
機能障害とは、手足や指の可動域が制限され、本来できていた動作が困難になる状態です。
たとえば、肘の骨折後に腕が伸びきらず、物を高い位置に持ち上げられなくなるケースが該当します。
医療現場では「可動域制限」という考え方が用いられ、健側と比べてどれほど動きが制限されているかを測定します。
等級は1級から14級まで幅広く設定されており、目安は次のとおりです。
- 両手または両脚がほとんど使えない状態:1級
- 両手の指がすべて十分に使えない状態:4級
- 片方の腕または脚がほぼ使えない状態:5級
- 肩・肘・手首、または股・膝・足首のうち2つの関節が大きく制限される状態:6級
- 片手の指の大半が使えない、または両足の指が動かしにくい状態:7級
- 肩や膝など主要な関節1つに強い制限が残る状態:8級
- 指や足指の一部が使えず、細かい作業が難しい状態:9級〜12級
- 小指や足指など限られた部位に制限が残る状態:13級〜14級
運動障害
背骨周辺を骨折した場合、体を曲げたりひねったりする動作に支障がでるケースもあります。
これが運動障害です。
脊柱、つまり首から腰にかけての骨の動きが制限される状態を意味します。
たとえば、追突事故で腰椎を骨折し、前かがみの姿勢が取れなくなる例などです。
長時間座れない、靴下を履く動作がつらいといった支障が生じます。
評価では、可動域検査や画像診断を通じて判断されます。
認定の目安は以下のとおりです。
- 脊柱の動きが著しく制限され、日常的な動作に大きな支障がある状態:6級
- 首や腰の動きに制限が残り、前かがみや振り向く動作がつらい状態:8級
変形障害
骨折が完全に元の形に戻らず、骨の形が変わったまま固まるケースは変形障害です。
外見からわかる程度の骨の変形や、骨が正常につながらない「偽関節」が残る状態を指します。
たとえば、すねの骨を骨折し、曲がった状態で癒合した結果、歩き方に影響がでるケースです。
この障害は、外観だけでなく機能面への影響も評価対象です。
医師の診断書では、変形の程度や日常生活への影響が記載されます。
主な等級の目安は次のとおりです。
- 背骨に明らかな変形が残る場合:6級
- 手足の長い骨に変形が残る場合:12級
短縮障害
下肢の骨折では、左右の脚の長さが変わることもあり、これが短縮障害です。
骨の再生過程で長さが十分に回復せず、片方の脚が短くなる状態です。
脚の長さの違いは、専用の計測方法で数値を確認できます。
後遺障害等級は、短くなった長さによって判断されます。
- 5センチ以上短い場合:8級
- 3センチ以上短い場合:10級
- 1センチ以上短い場合:13級
欠損障害
骨折の程度が重く、やむを得ず手術で切断が行われる場合もあります。
このように、手足や指の一部またはすべてを失う状態が欠損障害です。
身体の一部が物理的になくなることを意味し、生活への影響は非常に大きくなります。
たとえば、指を失ったことで細かい作業が難しくなる事例などでしょう。
評価では、失った部位と範囲が重要視されます。法律上は「どの関節以上を失ったか」で細かく区分されています。
目安は次のとおりです。
- 両腕や両脚を関節以上で失った場合:重い等級
- 指の一部を失った場合:比較的軽い等級
骨折で後遺障害認定を受けるポイント
骨折後に痛みや動かしにくさが残っていても、必ず後遺障害として認められるわけではありません。
適切な等級認定を受けるには、治療の進め方や申請方法のポイントをおさえる必要があります。
ここでは2つのポイントを解説します。
医師の診断書
骨折で後遺障害が認定されるかは、医師の診断書の記載内容が超重要です。
医師が後遺障害認定に精通しているとは限らず、必要な検査をせず診断書が作成されることも実際にはあります。
症状が残っていても、医学的な裏付けが不足すると認定されません。
たとえば、関節が動かしにくい場合でも、可動域の数値が記載されていなければ判断材料にすらなりません。
痛みやしびれがあるケースでも、画像検査や神経学的検査がなければ認定は難しいでしょう。
このような場合には、後遺障害認定に詳しい弁護士などの専門家から助言を受けることが有効です。
必要な検査内容や診断書の記載ポイントについて整理でき、認定に向けた準備を進めやすくなります。
被害者請求
骨折による後遺障害等級の申請方法には、「被害者請求」と「事前認定」があります。
被害者請求とは、被害者自身が自賠責保険へ直接申請する手続きです。
一方、事前認定は相手方保険会社が書類をまとめて申請します。
大きな違いは、後遺障害認定の土台となる資料を誰が管理するかという点です。
被害者請求では、医師の診断書や検査結果を自分で確認し、骨折後に残った痛みや関節の動かしにくさが正しく伝わっているかを確かめたうえで提出できます。
保険会社に提出を任せる事前認定ではそういったことができないため、等級認定を受けられる可能性も変わってきます。
被害者請求なら、
- ・記載不足や評価漏れに気づきやすい
- ・等級認定後、示談前に一部賠償金を受け取れる
- ・弁護士を通じて内容を整えた申請ができる
といったメリットがあります。
手続きに労力はかかりますが、等級次第で慰謝料額が大きく変わる以上、納得できる認定を目指す場合は被害者請求を選ぶ価値があります。
後遺障害慰謝料の3つの基準
骨折で後遺障害が認められた場合、支払われる慰謝料は一律ではありません。
後遺障害慰謝料は、治療が終了したあとも痛みや動かしにくさなどの症状が残ったことに対する精神的苦痛を補うお金です。
この金額は、どの基準で算定されるかによって大きく差が生じます。
基準は大きく分けて3つあります。
- ・自賠責基準
- ・任意保険会社基準
- ・弁護士基準
それぞれ解説します。
自賠責基準
自賠責基準は、最低限の補償を目的とした基準です。
たとえば、足首を骨折し、治療後も可動域が制限されて後遺障害等級14級と認定された場合、後遺障害慰謝料は32万円と定められています。
等級12級では94万円、10級では190万円と段階的に金額が上がります。
早期に支払われやすい一方、金額は最低基準です。
任意保険会社基準
任意保険会社基準は、保険会社が独自に設定している基準です。
基本的には自賠責基準と同等かやや高い金額となるケースが多いです。
たとえば、同じ足の骨折で後遺障害等級14級と判断された場合、40万円から60万円前後が提示されることもあります。
12級であれば100万円前後、10級では200万円前後になる例も見られます。
算定の根拠は公開されておらず、提示額に幅があり、被害者にとってわかりにくい基準であるため、提示された金額が適正かどうか判断するのは難しいです。
弁護士基準
弁護士基準は、裁判例を基に算定される基準です。
3つの基準の中ではもっとも高額になりやすいです。
たとえば、足の骨折で後遺障害等級14級が認定された場合、110万円程度が目安になります。
12級では290万円前後、10級では550万円前後が想定されます。
歩行時の痛みや仕事への影響など、生活上の不便さが考慮されるからです。
同じ骨折でも、基準が変わるだけで受け取れる金額に大きな差が生じます。
弁護士基準の額が適正額と考えられるため、弁護士基準で慰謝料請求を進めていくことが大切です。
交通事故で骨折した際に弁護士に相談するメリット
これまで解説したように、交通事故で骨折した場合、後遺症の有無や慰謝料の算定をめぐって専門的な判断が必要になる場面が少なくありません。
とくに後遺障害等級や慰謝料額は、手続きの進め方や立証内容によって結果が大きく変わります。
弁護士に相談することで、骨折後に生じやすい問題を整理し、将来を見据えた対応が可能です。
弁護士へ相談する具体的なメリットを解説します。
後遺障害等級認定を見据えた診断書・検査のサポートを受けられる
上述したように、後遺障害が認められるかどうかは、症状の重さだけでなく「どのように記録されているか」によって大きく左右されます。
痛みや動かしにくさが残っていても、診断書に必要な数値や検査結果が記載されていなければ、適切な評価につながりません。
弁護士に相談すれば、骨折の内容や症状から想定される後遺障害を整理し、等級認定に必要な検査や診断書の記載ポイントについて助言を受けられます。
医師に直接要望を伝えにくい場合でも、弁護士が間に入って必要事項を伝えることもできます。
弁護士基準で適正な後遺障害慰謝料請求ができる
保険会社から提示される金額は、自賠責基準や任意保険基準に基づくものが多く、必ずしも被害の実態を十分に反映しているとは限りません。
弁護士に依頼することで、裁判例を基にした弁護士基準での請求ができ、痛みや生活への支障、仕事への影響なども踏まえた金額を主張できます。
同じ等級であっても受取額に大きな差がでることもあるため、適正な補償を求めるうえでも弁護士基準で考えることは重要です。
被害者請求から示談交渉まで一貫して任せられる
後遺障害等級の申請や示談交渉は、専門知識を要する場面が多く、被害者にとって大きな負担です。
弁護士に依頼すれば、被害者請求に必要な書類の確認や申請準備から、保険会社との示談交渉まで一貫して任せられます。
提示される示談金が適正かどうかを見極め、不利な条件での合意を避けられるでしょう。
治療や生活の立て直しに専念しながら、手続きを進められます。
まとめ
この記事では、交通事故による骨折で生じやすい後遺障害の種類や等級の考え方、認定を受けるためのポイント、後遺障害慰謝料の算定基準などについて解説してきました。
本記事のポイントは次のとおりです。
- ・骨折後の痛みや制限は後遺障害になる可能性がある
- ・等級認定は診断書と検査内容が重要
- ・申請方法で認定結果が左右される
- ・慰謝料は基準によって金額差が大きい
症状が残っている場合は、まず後遺障害に該当するかを整理する行動が大切です。
弁護士への相談は初回無料の法律事務所もあるため、不安を抱え込まず、まずは弁護士に相談してみることが解決への近道です。

