コラム
交通事故の弁護士費用特約とは?適用範囲やメリット・使えないケースを解説
2026.02.05 交通事故の基礎知識交通事故で弁護士費用特約(弁特)はどこまで使える?自動車事故だけでなく歩行中や自転車事故、家族の保険が使えるケースまで、適用範囲を専門家が分かりやすく解説。300万円の上限額や費用倒れのリスク回避、等級への影響など、使う前に知っておきたい注意点も満載です。
交通事故における弁護士費用特約の適用範囲とは?
交通事故では、相手方との示談交渉や慰謝料請求の他、後遺障害等級認定の申請などでも弁護士に相談したり、依頼すべきケースがあります。
そんな時に役立つのが弁護士費用特約ですが、どのような事故でも使えるのでしょうか?
この記事では、弁護士費用特約の適用範囲や使えるケースなどについて解説します。
交通事故における弁護士費用特約とは
交通事故の相談では弁護士費用特約という言葉を耳にするのではないでしょうか。
交通事故の被害に遭った場合は、弁護士に相談する必要性が高まります。
このような場合、弁護士費用特約をつけていれば、弁護士費用を保険会社に代わりに負担してもらえるということを知っている方も多いと思います。
一般的には、自動車保険のオプションとして弁護士費用特約が付帯されていることが多いです。
ただ、火災保険、生命保険などにも、弁護士費用特約が付帯していることがあります。
いずれの保険についているものでも、交通事故で弁護士に相談する必要性が生じれば利用できることが多いです。
弁護士費用特約でカバーできる費用とは?
弁護士費用特約でカバーできる費用は、次の2つです。
- ・法律相談料
- ・弁護士費用
法律相談料とは、弁護士に相談した際にかかる相談料のことです。
1時間当たりいくらという形で報酬設定をしている弁護士が多いですが、その相談料について、「1回の事故・被害者1名につき10万円まで」弁護士費用特約でカバーすることができます。
弁護士費用とは、受任した弁護士が活動するためにかかる費用です。
弁護士が依頼を受けて活動する際は次のような費用がかかります。
- 着手金:弁護士に依頼した際に当面の活動費や報酬の一部の前払いとして支払う。
- 報酬金:弁護士に依頼した仕事が成功した際に支払う。
- 日当:弁護士が事務所外で活動する場合にかかる出張費用。
- 実費:弁護士が活動するにあたって実際にかかった費用。裁判費用や交通費など。
これらの費用のすべてを対象に、「1回の事故・被害者1名につき300万円まで」弁護士費用特約でカバーすることができます。
弁護士に依頼したら、300万円では収まらないのではないかと不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、死亡事故や重い後遺障害が残ってしまったというケースを除けば、300万円以内に収まることがほとんどです。
弁護士費用特約の補償対象となる交通事故とは?
自動車保険に付加されている弁護士費用特約を利用できるのはどのようなケースなのかわからない方も多いかもしれません。
結論から言うと、一般的な交通事故であれば、大抵は弁護士費用特約を利用できます。
代表的なケースは次のとおりです。
- ・自動車やバイクに乗っていて、過失により交通事故を起こしてしまった。
- ・自転車に乗っている時に自動車やバイク、自転車にはねられた。
- ・道路を歩行している時に自動車やバイク、自転車にはねられた。
- ・乗車しているバスやタクシーが交通事故を起こして怪我を負った。
- ・知り合いの自動車に乗せてもらっている時に交通事故が起きて怪我を負った。
弁護士費用特約の補償対象とならない交通事故とは?
交通事故の態様によっては、自動車保険に付加されている弁護士費用特約を利用できないケースもあります。
このような場合に、弁護士に相談する必要性が生じた場合は、ご自身で費用を負担するしかありません。
代表的なケースは次のとおりです。
- ・ご自身の故意または重過失によって交通事故を起こした場合。
- ・無免許運転をしていて交通事故を起こした場合。
- ・飲酒運転をしていて交通事故を起こした場合。
- ・あおり運転をしていて交通事故を起こした場合。
- ・危険な運転をしていて交通事故を起こした場合。
- ・犯行現場からの逃走など犯罪行為によって引き起こされた交通事故の場合。
- ・交通事故の相手が家族や親族などの場合。
- ・自然災害(地震、台風、洪水、高潮)によって引き起こされた交通事故の場合。
- ・弁護士費用特約を締結する前に発生した事故。
交通事故で弁護士費用特約を使うメリットとは?
では、交通事故で弁護士費用特約を使うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
弁護士費用を心配する必要がない
交通事故の示談などで相手から示談金などを受け取れても、弁護士費用がかかる場合は、その示談金から引き抜かれてしまいます。
これは、弁護士としても心苦しいことですし、あなたが本当に必要としている損害賠償金を受け取れないこともあります。
その点、弁護士費用特約を使い、弁護士費用を保険会社に負担してもらえれば、あなたは弁護士費用を気にする必要がありません。
費用倒れのリスクを気にする必要がない
交通事故の示談などを弁護士に依頼した場合、示談金として受け取れる金額よりも弁護士費用のほうが高額になってしまうケースがあります。
怪我の程度が軽い場合や物損事故に過ぎないような場合です。
こうした場合を「費用倒れ」と言います。
例えば、相手から10万円を受け取っても、あなたが弁護士に20万円を支払わなければならないということになると、あなたが10万円損してしまうわけです。
弁護士費用特約を使っていれば、費用倒れとなるケースでも、あなたは相手から損害賠償金をすべて受け取れますし、弁護士費用を負担しなくて済みます。
大幅に増額した示談金を受け取れる可能性がある
交通事故の示談は、相手方が加入する自動車保険の保険会社との交渉になるのが一般的です。
保険会社が示談金を提示する際は、任意保険基準と言い、自社で決めている賠償金額の支払い基準を基にしていることがほとんどです。
交通事故における慰謝料を含めた損害賠償金額の基準については、次の3つがあります。
- ・自賠責基準
- ・任意保険基準
- ・弁護士基準(裁判基準)
自賠責基準は法律で決められている最低限の基準です。
任意保険基準は、保険会社が自賠責基準よりも上乗せして設定している基準ですが、微増に留まることも多いです。
それに対して、弁護士基準(裁判基準)は、裁判で認められている基準で、任意保険基準よりも増額された損害賠償金額が算出されることが多いものです。
そのため、交通事故の示談は弁護士に依頼した方がよいと言われるわけですが、増額されても弁護士費用で消えてしまうのではあまり意味がありません。
その点、弁護士費用特約を使っていれば、増額された示談金額をそのまま受け取れるということです。
交通事故で弁護士費用特約を使うデメリットとは?
では、交通事故で弁護士費用特約を使うことにはデメリットはあるのでしょうか?
弁護士費用特約の分、保険料が高くなる
弁護士費用特約は通常の自動車保険のオプションとして設定していることがほとんどです。
そのため、弁護士費用特約の分だけ、保険料が高くなってしまう点がデメリットです。
自動車保険を少しでも安くしたいと考えている方にとっては、弁護士費用特約の分はもったいないと感じてしまうかもしれません。しかし、いざというときは、弁護士費用特約があったほうが何かと便利です。
弁護士費用特約を利用するための手間がかかる
弁護士費用特約を利用するためには、保険会社に連絡して、利用したい旨を伝えなければなりません。
保険会社によっては様々な手続きが必要なことがありますし、連絡を取った際に、弁護士費用特約を使わないほうがいいとか、示談しても意味がないといった形で引き止められることがあるかもしれません。
そのため、弁護士費用特約を使うのが面倒だと感じてしまうこともあります。
交通事故で弁護士費用特約を使うべきケースとは?
交通事故の態様によっては、弁護士費用特約を使うべきこともあります。主なケースを紹介します。
被害者に過失がない交通事故の場合
交通事故は、加害者側に過失があるだけでなく、被害者にも過失があるケースが多いものです。
そのため、交通事故の示談交渉では、被害者側の保険会社も保険金を支払う可能性があるため、被害者は自分が加入する保険会社の示談代行サービスを利用することができます。
それに対して、被害者に過失がない交通事故の場合は、被害者は自分が加入する保険会社の示談代行サービスを利用できません。
自ら、相手方の保険会社と示談交渉をしなければならないわけですが、怪我を負った状況で慣れない示談交渉を行うことは難しいものです。
こんなときは、弁護士費用特約を使って弁護士に示談交渉してもらえれば、身体的にも精神的にも楽になります。
交通事故による怪我が重く後遺症が残りそうな場合
交通事故による怪我の程度が重く後遺症が残りそうな場合は、後遺障害等級認定を受けるべきということになります。
この場合、後遺障害等級認定を受けるに当たっては、様々な手続きを行わなければなりませんし、後遺症の程度に見合った等級認定を受けるためには、交通事故に詳しい弁護士のサポートが必要です。
弁護士費用特約を使って弁護士にこうした交渉や手続きを進めてもらえば、適切な後遺障害等級認定を受けられますし、弁護士基準で計算した慰謝料等の損害賠償金もそのまま受け取れます。
被害の程度が少ない場合
物損事故のように被害の程度が少ない場合は、弁護士に依頼すると費用倒れのリスクがあります。
このような場合は、弁護士費用特約を使えば費用倒れのリスクを回避できます。
加害者が任意保険に加入していない場合
交通事故の加害者が任意保険に加入していない場合は、最低限の自賠責保険の保険金しか受け取れません。
これだけでは足りない分は、加害者に対して請求しなければなりませんが、この示談交渉を弁護士に依頼したとしても、相手が経済的に苦しければ、示談金を受け取れない可能性があります。
むしろ、被害者の方が弁護士費用を負担することになって損してしまう、つまり、費用倒れのリスクがあります。
このような場合は、弁護士費用特約を使えば費用倒れのリスクを回避できます。
交通事故で弁護士費用特約を使うには?
交通事故で弁護士費用特約を使うにはどうしたらいいのでしょうか。まず、その流れを解説します。
自動車保険に弁護士費用特約が付されていることを確認する
まず、ご自身が加入する自動車保険などに弁護士費用特約が付されていることを確認しましょう。
一般的には、自動車保険の保険証券や契約書類などを確認すれば、弁護士費用特約が付されているかどうかは分かると思います。
もしも、わからない場合は、保険会社に問い合わせましょう。
交通事故に詳しい弁護士を探す
保険会社に問い合わせた場合、保険会社が弁護士を紹介するということもあります。もちろん、紹介された弁護士に依頼しても構いませんが、必ずしも交通事故に詳しいとは限りません。また、あなたの居住地に近い弁護士を紹介してくれるとも限りません。
そのため、ご自身で交通事故に詳しい弁護士を探して相談するのが最も確実です。
インターネットを使うのであれば、ホームページなどを調べて、交通事故の解決実績があるかどうかなどを確認してから依頼するとよいでしょう。
弁護士に弁護士費用特約を使いたい旨を申し出る
依頼したい弁護士を決めたら、弁護士費用特約を使いたい旨を弁護士に伝えてください。
基本的に弁護士の方から、弁護士費用特約の利用を断ることはありません。
弁護士費用特約を使うことは失礼なことではなく、むしろ、弁護士としても報酬や費用を確実に回収できるため、うれしいことなのです。
この場合、具体的な報酬や費用については、弁護士事務所と保険会社がやり取りすることになります。
保険会社に弁護士費用特約を使いたい旨を申し出る
依頼する弁護士を決めたら、保険会社に弁護士費用特約を使いたい旨を伝えましょう。
保険会社によっては、弁護士費用特約の利用を嫌がるケースもあります。
保険会社が嫌がるのは、弁護士費用を保険会社が負担することになるからという単純な理由に過ぎません。
弁護士費用特約を使っても、契約者の方が不利になることはないので、使えるケースならば、気にせずにどんどん利用しましょう。
交通事故で弁護士費用特約を使っても自動車保険の等級は変わらない
自動車保険の等級は、加入時に6級から始まり、保険期間中に無事故であれば、次の契約時に等級が上がる仕組みになっています。
等級が上がればその分、保険料が安くなります。
逆に言えば、交通事故を起こして自動車保険を使うと、等級が下がり、保険料が高くなるという仕組みです。
そのため、弁護士費用特約を使うことで、等級が下がり、保険料が高くなるのではないかと不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、弁護士費用特約はオプションのため、使ったとしても、等級に影響はありません。
そのため、弁護士費用特約はどんどん使ったほうが特だということです。
弁護士費用特約は家族でも使える?
弁護士費用特約は、自動車保険の契約者本人だけでなく、家族が利用することもできます。
例えば、同居の親族や、別居の未婚の子が交通事故に遭った場合でも利用することができます。
また、歩行中の事故であっても、家族が車を持っていればその保険の弁護士費用特約が使えるのが一般的です。
まとめ
弁護士費用特約の適用範囲や、弁護士費用特約の使い方などについて解説しました。
交通事故の被害者になってしまい、弁護士に相談や示談交渉を依頼する必要性が生じた場合は、弁護士費用特約を使うと、費用倒れのリスクを回避したり、増額された慰謝料等の損害賠償金をそのまま受け取れるなど、様々なメリットを享受できます。
交通事故で弁護士に相談すべきか迷っている方は、今すぐ、弁護士費用特約に加入していないか確認してみてください。

