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コラム

交通事故における休業損害と逸失利益の違いとは? 計算方法と請求のポイントも解説

2026.03.02

交通事故により仕事ができなくなったり、収入が減った場合は休業損害と逸失利益を請求できます。休業損害は現に収入が減った分について請求できるもの、逸失利益は将来収入が減ると見込まれる場合に請求できます。休業損害と逸失利益の違いや計算方法と請求のポイントも解説します。
 

休業損害と逸失利益の違いとは? 計算方法と請求のポイントも解説

交通事故の被害を受けた場合は様々な損害賠償を請求しますが、休業損害と逸失利益は、消極損害といい、交通事故により得られなくなった給料や将来の収入について、加害者側に補償を求めるものです。
しかし、休業損害と逸失利益は似ているため、どう違うのかよく分からないこともあると思います。
また、実際に請求する際にはどうしたらよいのか分からないこともあるのではないでしょうか?
この記事では、休業損害と逸失利益の違い、休業損害や逸失利益の計算方法のほか、請求のポイントも解説します。
 

交通事故の被害者が請求できる損害賠償金(示談金)

交通事故で被害者になったときは、加害者に対して、様々な名目で損害賠償金(示談金)を請求することができます。
その代表例が慰謝料ですが、慰謝料は損害賠償金(示談金)の一部に過ぎません。
交通事故の損害賠償金(示談金)をまとめると次の3種類に分けることができます。
 

  • ・積極損害
  • ・消極損害
  • ・慰謝料

 
積極損害とは、交通事故により、被害者が出捐を強いられた金銭のことです。代表例は、治療費です。
消極損害とは、交通事故により、被害者が失った金銭のことです。休業損害や逸失利益が代表例です。
慰謝料とは、交通事故により被った精神的苦痛について金銭的な補償を求めるものです。
 
代表例をまとめると次のようになります。
 

積極損害 治療費
通院交通費
入院雑費
付添費用
介護費用
葬儀費用
車の修理費
消極損害 休業損害
後遺障害逸失利益
死亡逸失利益
慰謝料 入通院慰謝料
後遺障害慰謝料
死亡慰謝料

 

休業損害とは

休業損害は、消極損害として請求できる金銭の項目の一つです。
交通事故による受傷の程度が重いために、仕事を休まなければならなくなった場合に、休んだ事によって減った収入について、損害賠償の請求ができます。
 
休業損害の請求のポイントは、
 

  • ・休業の必要性があること。
  • ・交通事故との因果関係が認められること。

 
の2つです。
 
事故前の収入を基礎とし、受傷によって休業したことによって、現実的に減少した収入について請求することができます。
 

逸失利益とは

逸失利益も、消極損害として請求できる金銭の項目の一つです。
交通事故により後遺症を負ったために将来得ていたはずの収入が得られなくなった場合、または亡くなったために、将来働いていれば得ていたはずの収入を得られなくなった場合に請求できます。
逸失利益には、次の2種類があります。
 

  • ・後遺障害逸失利益
  • ・死亡逸失利益

 
後遺障害逸失利益は、被害者が交通事故で後遺障害を負ったために、将来に渡り、労働能力の一部が失われたことによって、将来得られるはずだった収入が得られなくなる場合に請求できます。基礎収入に労働能力および労働能力喪失期間を乗じた額から中間利息を控除した額について請求することができます。
 
死亡逸失利益は、被害者が交通事故で亡くなってしまったために、将来得ていたはずの収入が得られなくなった場合に請求できます。基礎収入に労働能力および労働能力喪失期間を乗じた額から中間利息を控除した額について請求することができます。
 

休業損害と逸失利益の関係

休業損害と逸失利益は、どちらも、消極損害として請求できる金銭です。
更に、交通事故により、収入が減ったり、無くなったことについて補償を求めるものだということが分かると思います。
そのため、休業損害と逸失利益は混同されがちですが、実際には、大きく異なる点がいくつかあるので解説します。
 

請求時点で収入が減っているかどうか

休業損害と逸失利益は、どちらも、収入が減ったり、無くなったために加害者側に補償を求めるものですが、請求時点で実際に収入が減っているかどうかという点で大きく異なります。
 
休業損害は、交通事故の被害に遭って入院したり、通院したりして仕事を休まざるを得なくなることにより、実際に収入を得られなかったケースで請求できるものです。
つまり、請求する時点で収入を得られなかったという事実が明確にあるので、その事実さえ示せれば、相手方に休業損害の請求をすることができます。
 
一方、逸失利益は、「将来」得られなくなると予想される減収分を計算して、相手方に請求します。
つまり、請求する時点で、実際に収入を得ることができなくなったという事実はありません。それだけに、本当に収入が減るのかどうかが争点になりやすく、相手方も容易には逸失利益の支払いに応じないことも少なくありません。
 

仕事をしていなくても請求できるかどうか

休業損害と逸失利益とでは、請求時点で仕事をしていなくても請求できるのかという点で大きく異なります。
休業損害は、仕事をしている人が、交通事故の被害に遭って入院したり、通院したりして仕事を休まざるを得なくなり、収入が減ったり、無くなったことの補償を求めるものです。
つまり、請求時点で無職の方や学生さんだと、基本的に休業損害の請求をすることはできません。
 
一方、逸失利益は、請求時点で仕事をしていなくても請求できます。
働いていない未成年の子どもが被害者の場合でも、大人になれば、仕事をして収入を得ることが予想されるわけですが、後遺障害が残って、選べる仕事が限られてしまうという状況であれば、後遺障害逸失利益の請求ができます。
 

被害者が死亡した事故でも請求できるのかどうか

休業損害と逸失利益は、被害者が交通事故で亡くなった場合に請求できるのかどうかという点で異なります。
 
例えば、交通事故で被害者の方が即死してしまったとします。
この場合、亡くなった時点で、仕事ができなくなったわけですから、仕事を休むということはありえず、休業損害の請求をすることはできません。
 
一方、まだ働ける年齢や就業前の未成年者等が亡くなってしまったケースでは、交通事故に遭わずに生きていれば、それ以降も、仕事をして収入を得ていたことが予想されます。
このようなケースでは、加害者側に死亡逸失利益の請求をすることができます。
 

休業損害の計算方法とは?

休業損害の計算式はいくつかの基準があるので、分かりにくいことがあります。加害者側の任意保険会社から示された基準だけではないということを押さえておきましょう。
 

休業損害の算定基準

休業損害を計算するケースでは、算定基準を決める必要があります。
算定基準は次の3種類があります。
 

  • ・自賠責保険基準
  • ・任意保険基準
  • ・弁護士基準(裁判所基準)

 
自賠責保険基準は、自賠責保険から支払われる保険金額を計算するための基準です。3種類の算定基準の中では最も休業損害の金額が低くなります。
具体的な計算式は次のとおりです。
 
休業損害=1日あたり6100円×休業日数
 
職業が何であるかに関わらず、基本的にこの計算式で休業損害が決められてしまいます。休業日数は実際に仕事を休んだ日数のことで、有休を使ったケースも含まれます。
 
任意保険基準は、加害者の任意保険会社が独自に決める基準です。自賠責保険基準よりも少し高く設定されていることが多いです。
 
弁護士基準(裁判所基準)は、交通事故の裁判で認められている基準です。弁護士に加害者側への損害賠償請求を行った場合は、この基準で計算を行い請求することになります。3つの基準の中では最も高額になることが多いです。
 
休業損害の弁護士基準(裁判所基準)による計算方法とは?
ここでは、休業損害を弁護士基準(裁判所基準)で計算する方法について解説します。
まず、弁護士基準(裁判所基準)の基本的な計算式は次のとおりです。
 
休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数
 
「1日あたりの基礎収入」は、自賠責保険基準のように固定されているわけではなく、別途計算して決めます。具体的には次のとおりです。
 
1日あたりの基礎収入=事故前3か月の収入÷90日(または3か月間の勤務日数)
 
そして、「休業日数」は、実際に仕事を休んだ日数ですが、期間は限定されているので注意が必要です。
具体的には、交通事故に遭った日から、「症状固定」とされた日までの間に仕事を休んだ日の日数を指します。
 
症状固定とは、それ以上治療を続けでも症状の改善が見込めないと医学的に確定した日のことです。
 

休業損害を請求する際のポイント

休業損害を請求する際に注意すべきことは3つです。
 

  • ・収入が多い場合は弁護士基準(裁判所基準)で計算する
  • ・休業損害証明書を漏れなく書いてもらう
  • ・重複請求ができない

 
一つ一つ確認しましょう。
 

収入が多い場合は弁護士基準(裁判所基準)で計算する

自賠責保険基準の場合は、収入の多寡にかかわらず、原則、1日あたり6100円で計算されてしまいます。
任意保険基準では、これよりも僅かに上乗せされることも多いですが、それでも実際の収入には足りないということも少なくありません。
このような場合は、弁護士基準(裁判所基準)で、実際の収入に基づいて計算し、請求しましょう。
 

休業損害証明書を漏れなく書いてもらう

休業損害を請求するには、勤務先に休業損害証明書を作成して貰う必要があります。
休業損害証明書には、
 

  • ・休業した日付
  • ・休業期間中の給与の支払いの有無やその金額
  • ・事故前3か月に支給された給与額

 
といった項目を漏れなく記載してもらうことが大切です。
 

重複請求ができない

休業損害を請求し受け取った場合は、あなたが個人的に加入している休業損害を保障するための保険金等を受け取れないことに注意しましょう。
もしもこれが認められると二重に給付を受ける形になり、不公平になるためです。
具体的には、次のような給付金は受け取れません。
 

  • ・労災保険による休業(補償)給付金
  • ・自賠責保険金、政府保障事業のてん補金
  • ・所得補償保険の給付金
  • ・人身傷害保険の保険金

 

逸失利益を計算する方法とは?

逸失利益には、後遺障害逸失利益と、死亡逸失利益の2種類があります。
それぞれ、どのように計算するのか解説します。
 

後遺障害逸失利益を請求する際は?

後遺障害逸失利益を請求するためには、いくつか要件を満たす必要があるので注意しましょう。
具体的には次のような要件です。
 

  • ・症状固定と認定されたこと。
  • ・「後遺障害等級」の第1級から第14級の等級のいずれかに認定されたこと。
  • ・後遺障害により働けなくなったまたは減収したこと。
  • ・交通事故に遭っていなければ収入を得られる見込みがあったこと。

 
症状固定とは、休業損害で解説した時点と同じです。
つまり、症状固定の時点を境に、それ以前の分は、休業損害として、それ以後の分は、後遺障害逸失利益として請求する関係になります。
 

後遺障害逸失利益を計算する方法とは?

後遺障害逸失利益の計算式は次のとおりです。
 
1年あたりの基礎収入額 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
 
「1年あたりの基礎収入額」は、給与所得者ならば、交通事故の前年度の源泉徴収票の「支払金額」によります。
無職の方や未成年の方は、賃金センサスにより平均賃金額を算出します。
 
「労働能力喪失率」とは、交通事故前よりもどの程度労働能力が低下したのかを示す割合ですが、後遺障害等級の程度に応じて異なります。
例えば、
 

  • ・後遺障害等級第1〜3級ならば、100%
  • ・第14級ならば、5%

 
このように、後遺障害等級が重いほど、数字が大きくなります。
 
「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」はやや分かりにくい数字だと思います。
まず、「労働能力喪失期間」は、原則として症状固定時の年齢から67歳までの期間になります。症状固定時に67歳を超えているケースでは、症状固定時の年齢から平均余命までの期間の2分の1の期間を用いて算定します。
そして、「ライプニッツ係数」は、中間利息控除を行うための数値です。
交通事故の賠償金は一括払いにより受け取りますが、まとまった金銭を受け取った場合は、運用することで利益を得られます。その利益の分をあらかじめ差し引いておくわけです。
労働能力喪失期間が決まれば、その期間に相当するライプニッツ係数を当てはめます。
 

死亡逸失利益を計算する方法とは?

死亡逸失利益を算出する計算式は次のとおりです。
 
基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
 
「基礎収入額」とは、交通事故に遭う前の年の実際の収入のことです。
給与所得者ならば、交通事故の前年度の源泉徴収票の「支払金額」によります。
就労していない未成年者ならば、賃金センサスの平均賃金により計算します。
 
「生活費控除率」とは、生きていれば消費したと想定される生活費のことです。収入を得ていてもすべてが手元に残るわけではないため、生活費等の経費を控除するわけです。
生活費控除率は30%から50%の間で設定され、被害者の方の立場により異なります。
 
「就労可能年数」とは、原則として、交通事故で亡くなった日から67歳までの期間です。就労していない未成年者の場合は、就労開始の年齢から計算します。
 

逸失利益の請求のポイント

逸失利益については、将来の見込みであるだけに、請求が難しいケースも少なくありません。
例えば、後遺障害等級に該当しても、実際に収入が減っていない場合は、請求できません。
また、交通事故当時に求職中で無職だったというケースでも、働く可能性がないため、逸失利益が認められないことが多いです。
このような場合は、弁護士に相談し、適切な逸失利益の請求をすることが大切です。
 

まとめ

休業損害と逸失利益の違い、さらに、それぞれの計算方法と、請求時のポイントについて解説しました。
交通事故の被害に遭ってしまい、収入が減ったり、得られなくなってしまうことは少なくありません。
そのような場合は、泣き寝入りせず、しっかりと、休業損害及び逸失利益を請求しましょう。
加害者側の保険会社との交渉で不安を感じている場合は、早めに交通事故問題に詳しい弁護士にご相談ください。

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