解決事例
バイクで走行中、交差点で対向車線の車が右折して衝突し負傷、14級の後遺障害が認定された事例
1.事故状況
Aさんが自転車で国道を直進していたところ、T字型交差点で対向車線の車が右折してきて衝突しました。
この事故でAさんのバイクは転倒し、Aさんは路面に頭から落ち、道路で身体を強打しました。その際、ヘルメットの紐で首が圧迫された甲状軟骨骨折のほか頸部捻挫、左肘打撲、左手背部打撲、左膝打撲等の傷害を負いました。
Aさんは病院へ緊急搬送され治療を受け、その後も頸部痛、膝の痛み、息苦しさの症状が続いたので通院で治療を続けました。
事故から11か月後にAさんは症状固定となりました。
2.相談のきっかけ
事故から3ヶ月経過した頃、Aさんは相手方との交渉を任せていた任意保険の保険会社の対応に納得できないところがあったので、インターネットで当事務所のホームページを見て相談に来られました。
弁護士に相談の後、Aさんは症状固定の時期のことも考慮し、今後の相手方保険会社との対応を弁護士に委任されました。
3.弁護士の活動
受任後、弁護士はAさんと治療の状況について情報を交換し、症状固定になる迄必要なアドバイスをしました。
Aさんの症状固定に伴い、弁護士はAさんの診療記録、後遺障害診断書、画像資料、事故車の写真を分析しました。
Aさんの後遺症診断書によると、自覚症状として左膝のしびれ感、歩行時の疼痛、起床時の頸部痛がみられました。
他覚的所見として、頸部CTでは、甲状軟骨の左側に断裂像があり、甲状軟骨骨折についてはまだ癒合していませんでした。MRIによれば、左膝に明らかな骨挫傷は見られないものの、疼痛やしびれを主体とした症状は今後も残存する可能性が高いとのことでした。
弁護士は自賠責調査事務所に対する後遺障害認定の申し立てで、後遺障害としては、左膝の痛みやしびれは「局部に神経症状を残すもの」として14級の後遺障害に該当すると主張しました。頸部痛については、左後頚部に疼痛が発生していることから「局部に神経症状を残すもの」として14級の後遺障害に該当すると主張しました。
息苦しさについては、甲状軟骨の断裂が癒合していないことが明らかであるため、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級の後遺障害に該当すると主張しました。
これに対し自賠責調査事務所は審査の結果、頸部の症状経過、治療状況を勘案して、将来においても回復が困難と見込まれる障害として、「局部に神経症状を残すもの」として14級の後遺障害に該当すると認定しました。
4.弁護士関与の成果
後遺障害認定が確定したので、弁護士は相手側保険会社と示談交渉に入りました。
示談交渉で大きな争点になったのは逸失利益と過失割合でした。逸失利益については、相手方保険会社が労働能力喪失期間を3年間としていたのを5年間に変更させました。
また、過失割合については、物損の示談では5:95であったので、人損の示談においてもその数値を採用するように強く主張して認めさせました。
後遺症慰謝料については、相手方保険会社は基準額の80%を提示してきたので、100%を主張し認めさせました。
損害賠償金額は、当初の相手方提示額より92万円、率にして23%のアップとなりました。治療費、交通費を除いた手取り分では、88万円、27%アップなりました。
保険会社提案金額 | 和解額 | |
治療費、交通費等 | 118万円 | 122万円 |
通院慰謝料 | 120万円 | 135万円 |
休業補償費 | 72万円 | 79万円 |
逸失利益 | 41万円(5% 3年) | 66万円(5% 5年) |
後遺障害慰謝料(14級) | 88万円 | 110万円 |
計 | 439万円 | 512万円 |
過失割合 | -44万円(10%) | -25万円(5%) |
合計 | 395万円 | 487万円 |
5.弁護士の所感
逸失利益の計算については、通常は事故の前年度の収入を基にして算出します。しかし個人事業主の場合、年度により収入が変動しますが、たまたま前年度の収入は低い場合には非常に不利なことになります。このような場合は、過去の何年かの収入の平均値を採用するように提案したりしますが、保険会社が認めないことが多いのが実情です。
個人事業主の場合、交通事故の後遺症により業務に多大な悪影響が出て、生活の基盤を崩してしまうようなこともあります。
弁護士は示談により、出来るだけ多くの損害賠償金を得て、被害者の事故後の生活が安定するように努力します。
しかし、被害者にすべてについて満足して貰うことは難しいことですが、弁護士としては常に依頼者のために最善を尽くします。

高の原法律事務所
所長 坪田 園子
代表弁護士である坪田園子は、「顔の見える関係」を何より大切にしております。依頼者とは、必ず直接お会いして、お話をじっくりとお伺いしたうえで事件をお受けしております。奈良の高の原という奈良の郊外で、地域密着の依頼者対応をモットーとしております。最初は不安な顔で相談に来られた方も、無事に解決した後は、笑顔になって帰られます。一人でも多くの方の笑顔が見られるように精進致します。ぜひお気軽にご相談をくださいね。