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コラム

交通事故におけるLAC、LAC基準とは? 弁護士費用特約の利用方法についても解説

2025.06.08

LACはリーガル・アクセス・センターの頭文字を取ったもので弁護士費用特約を普及させるための日弁連の組織です。交通事故で弁護士に相談したり、示談交渉を依頼するときは、LACと協定を締結している保険会社の弁護士保険を利用すると共にLAC基準で引き受ける弁護士に依頼すると報酬や費用を心配する必要がありません。
 

交通事故におけるLAC(リーガル・アクセス・センター)の利用方法と弁護士の探し方を解説

交通事故で弁護士に相談したり、示談交渉を依頼する際は、LACと協定を締結している保険会社の弁護士保険を利用し、費用と報酬につきLAC基準で引き受けてくれる弁護士へ依頼すると安心です。
交通事故におけるLACの役割や弁護士、法律事務所の探し方について解説します。
 

交通事故のLACとは?

交通事故のトラブルについて弁護士に相談したり依頼する場合、LACという言葉を耳にすることもあると思います。
LACとは、Legal access center(リーガル アクセス センター)の略称で弁護士費用保険(権利保護保険)の運営と発展のために、日本弁護士連合会が運営しています。全国の弁護士会との連絡調整の他、保険会社、共済協同組合等との協議等の活動を行っています。
 
交通事故の被害に遭って、弁護士に依頼して示談交渉を行ってもらおうとする時に弁護士費用が高額になるのではないかとの懸念から、相談や依頼を躊躇する方も少なくありません。
こうした時に自動車保険等の特約である弁護士費用保険に入っていれば、弁護士費用は保険会社に負担してもらうことができます。
 
さらに、LAC基準で報酬を受け取る弁護士に依頼すれば、弁護士費用保険でも賄えないほど弁護士費用が高額になってしまう事態を防ぐことができます。
 

LACの役割

LACは、日弁連が運用していますが、その役割は次の2つです。
 

  • ・弁護士費用保険(権利保護保険)を利用する場合の統一基準を作成する。
  • ・弁護士費用保険(権利保護保険)を利用する依頼者へ弁護士を紹介する。

 
LACでは、LAC基準と呼ばれる報酬基準を作成しています。
LACとの協定により弁護士費用保険(権利保護保険)を販売する保険会社、共済協同組合は、保険金の支払い額をLAC基準で決めています。
 
また、弁護士費用保険(権利保護保険)を利用する際は、依頼を受ける際の報酬をLAC基準でよいとしている弁護士を探さなければなりませんが、LACがそうした弁護士のリストを作っており、依頼者へ紹介する役割を担っています。
 

LAC基準とは?

LAC基準とは、弁護士費用についてLACが保険会社、共済協同組合と協定で定めたものです。
LACと協定を締結している保険会社、共済協同組合が提供する弁護士費用保険を使う場合は、原則としてLAC基準による弁護士費用が支払われます。
 
ただ、LAC基準は絶対ではありません。
弁護士によっては、独自の報酬基準を設けていることもあります。
一般的には、LAC基準よりも、弁護士独自の報酬基準の方が高いです。
 

LAC基準の具体的な上限金額とは?

LAC基準の具体的な上限金額は、法律相談料が10万円、弁護士費用が300万円、時間制報酬(タイムチャージ)が60万円とされています。
 

法律相談料

相談時間1時間 10,000円 以降は超過15分ごとに2,500円

 

着手金

経済的利益 着手金の計算方法
125万円以下の場合 10万円
125万円を超え300万円以下の場合 経済的利益の8%
300万円を超え3000万円以下の場合 経済的利益の5%+9万円
3000万円を超え3億円以下の場合 経済的利益の3%+69万円
3億円を超える場合 経済的利益の2%+369万円

 

報酬金

経済的利益 着手金の計算方法
125万円以下の場合 20万円
125万円を超え300万円以下の場合 経済的利益の16%
300万円を超え3000万円以下の場合 経済的利益の10%+18万円
3000万円を超え3億円以下の場合 経済的利益の6%+138万円
3億円を超える場合 経済的利益の4%+738万円

 

手数料

事案簡明な自賠責保険の請求 経済的利益の額が150万円以下の場合:3万円
経済的利益の額が150万円を超える場合:経済的利益の額の2%
証拠保全 20万円+着手金の10%
法律関係の調査 一件につき5万円。特に調査に労力を要する場合は、10万円以下の範囲で手数料を増額できる。
内容証明郵便作成 弁護士名を表示しない場合は2万円。弁護士名を表示する場合は、作成内容の難易により3万円以上5万円以下。

 

日当

移動による拘束時間 日当
往復2時間を超え、4時間まで 30,000円
往復4時間を超え、7時間まで 50,000円
往復7時間を超える場合 100,000円

 

時間制報酬(タイムチャージ)

所要時間当たり20,000円
原則として、1事件当たり所要時間30時間が上限(時間制報酬総額60万円)。
 

実費等

収入印紙代・郵便切手代・謄写料・交通費・通信費・宿泊費・保証金・供託金・振込手数料等
 

弁護士費用がLAC基準を超える場合は支払わなくてよいのか?

LACと協定を締結した保険会社、共済協同組合が提供する弁護士費用保険を利用する場合にLAC基準が適用されます。
依頼する弁護士が報酬はLAC基準でよい旨を明示していれば、上限金額の範囲までなら弁護士費用を負担する必要がありません。
 
ただ、LAC基準は絶対の基準ではないため、弁護士によってはLAC基準よりも高額な料金体系を用意していることがあります。
この場合、弁護士費用のうちLAC基準を超える分は、依頼者が負担しなければなりません。
 
そのため、依頼者としては、LAC基準を採用している弁護士なのかを依頼前に確かめることが大切です。
LAC基準を採用していない場合は、弁護士費用がLAC基準を超えるケースもあり、自己負担となることを覚悟しなければなりません。
 

LAC基準が使える保険会社は限られている?

LACと協定を締結した保険会社、共済協同組合が提供する弁護士費用保険だけにLAC基準が適用されます。
 
日弁連によると2024年10月1日の時点でLACと協定を締結している保険会社、共済協同組合は次のとおりです。
 

  • ・あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
  • ・AIG損害保険株式会社
  • ・au損害保険株式会社
  • ・キャピタル損害保険株式会社
  • ・共栄火災海上保険株式会社
  • ・ジェイコム少額短期保険株式会社
  • ・全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)
  • ・全国自動車共済協同組合連合会
  • ・全国トラック交通共済協同組合連合会
  • ・全国労働者共済生活協同組合連合会(こくみん共済 coop〈全労済〉)
  • ・ソニー損害保険株式会社
  • ・損害保険ジャパン株式会社
  • ・SOMPOダイレクト損害保険株式会社
  • ・大同火災海上保険株式会社
  • ・Chubb損害保険株式会社(チャブ保険)
  • ・中小企業福祉共済協同組合連合会
  • ・チューリッヒ保険会社
  • ・ミカタ少額短期保険株式会社
  • ・三井住友海上火災保険株式会社
  • ・三井ダイレクト損害保険株式会社
  • ・明治安田損害保険株式会社
  • ・楽天損害保険株式会社

 
一方、LACと協定を締結していない保険会社の代表例としては、東京海上グループ(東京海上日動・日新火災・イーデザイン損保)が知られています。
こちらは、LACとは別の基準で保険金を支払っています。
 

交通事故の被害者となった時にLAC基準の弁護士を探すには?

まず、交通事故の被害者の方が、LACと協定を締結している保険会社、共済協同組合が提供する保険に加入していることが前提になります。
そのうえで、LAC基準の報酬で引き受けてくれる弁護士を探すわけですが、その方法は2つです。
 

  • ・保険会社を通してLACに弁護士の紹介を依頼する
  • ・自分でLAC基準の弁護士や法律事務所を探す

 
それぞれ確認しましょう。
 

保険会社を通してLACに弁護士の紹介を依頼する

弁護士費用保険(権利保護保険)を利用したいと保険会社に言えば、知っている弁護士がいるのか訊ねられます。
もしも、知っている弁護士がいなければ、保険会社を介してLACに弁護士の紹介を依頼することもできます。
この場合、LACは、LACの指定研修を終えて登録を受けた人で、依頼者の地域の弁護士会に所属する弁護士を紹介します。
 
もっとも、LACは交通事故の事案を鑑みて、経験や力量をもった適切な弁護士を紹介しているわけではありません。
多くの場合は、弁護士を名簿順に紹介しているだけです。
そのため、該当事案に詳しい弁護士が紹介されるとは限らないですし、そもそも、交通事故に詳しくない弁護士が当たるかもしれません。また、ベテランが当たることもあれば新人が当たることもあります。
 

自分でLAC基準の弁護士や法律事務所を探す

自分の知り合いの弁護士がLAC基準で依頼を受けているのであれば、その弁護士に相談したり依頼することもできます。
また、ホームページなどでLAC基準に対応している弁護士を探すことも可能です。
交通事故と言っても様々な事案があり、弁護士によって得手不得手があります。そのため、自分の交通事故の事案に詳しそうな人に依頼することが、弁護士を探す際に失敗しないためのポイントです。
 

交通事故における弁護士費用保険(権利保護保険)の利用状況

交通事故にあった時は、保険会社の示談代行を利用する方は多いと思いますが、弁護士に相談したり依頼することを検討する方は少ないようです。
「弁護士に依頼しても、保険金の額は大して変わりませんよ。それに、弁護士に依頼してしまうと弁護士費用や報酬が取られるから、却って受け取れる保険金の額が少なくなりますよ」こんな風に保険会社に言いくるめられて、弁護士に相談しないで示談を済ませてしまうこともあるようです。
 
弁護士費用保険(権利保護保険)は、このような場合に、保険金から弁護士費用や報酬を出してもらうことで、保険会社から全額の保険金を受け取れるようにするためのものです。
 
弁護士費用保険(権利保護保険)は、自動車保険などの特約として加入するのが一般的で、保険に加入している本人でも、そんな保険に入っていたことに気づいていないこともあります。
こうした事情もあり、弁護士費用保険(権利保護保険)の利用は、まだ広がっていないのが実情です。
ましてや、LAC基準と呼ばれる報酬基準が用意されているので、弁護士費用を心配することなく相談できることを知らない方も多いようです。
 

交通事故に遭った時に弁護士費用保険(権利保護保険)を利用するメリット

交通事故の被害者の方が弁護士費用保険(権利保護保険)を利用するメリットは次のとおりです。
 

費用倒れの心配がない

弁護士に相談するときは、費用倒れを心配しなければなりません。
例えば、数万円の損害賠償金を請求する交渉を弁護士に依頼した場合は、弁護士に支払う費用や報酬が数十万円に膨らんでしまって、依頼者の方が損害賠償金を受け取れないどころか、逆に弁護士へ費用を支払わなければならない事態になります。
このような場合に弁護士費用保険(権利保護保険)を使えば、弁護士費用や報酬の数十万円を保険金でカバーできるため、数万円の損害賠償金を丸ごと受け取ることができます。
 

弁護士費用を全額賄えることが多い

弁護士費用保険(権利保護保険)を利用すれば、300万円までの費用を保険会社が出してくれます。
交通事故の場合は、弁護士費用が300万円を超えることはほとんどないため、弁護士費用を気にせずに相談したり、依頼することが可能です。
 
弁護士費用が300万円を超えるケースは、被害者の方が常時介護が必要な重度の後遺障害の状態になってしまった場合や死亡事故の場合です。
ただし、こうした重大事故では、加害者側の保険会社に対して多額の賠償金を請求する形になり、保険会社から支払われる保険金より弁護士費用が差し引かれます。
 

増額された賠償額をそのまま受け取ることができる

交通事故の被害者の方が弁護士に示談交渉を依頼すれば、加害者側の保険会社から受け取れる示談金(慰謝料)の額が増額されます。
 
示談金(慰謝料)の基準は、
 

  • ・法律で定められている最低限の基準である「自賠責基準」
  • ・保険会社が定めている「任意保険基準」
  • ・裁判所が認めている「裁判基準(弁護士基準)」

 
の3種類があります。
 
弁護士に依頼せず、相手方保険会社と示談を進めた場合は、「任意保険基準」で支払われる額が決まることがほとんどですが、この基準は自賠責基準にわずかに上乗せした程度のものに過ぎません。
それに対して、裁判基準(弁護士基準)は自賠責基準よりも数倍になることがほとんどです。
 
例えば、死亡慰謝料を自賠責基準と裁判基準(弁護士基準)で比較すると次のようになります。
 

自賠責基準
移動による拘束時間 400万円
遺族の慰謝料 1名:550万円
2名:650万円
3名:750万円
被害者に被扶養者がいるときは、さらに200万円

 
例えば、未成年の子どものいる4人家族で、父親が交通事故の被害者になって亡くなった場合は、
400万円 + 750万円 + 200万円 = 1,350万円
このような金額になります。
 

裁判基準(弁護士基準)

裁判基準(弁護士基準)によるケースでは、家庭内における被害者の属性により異なります。
具体的には次のとおりです。
 

一家の支柱(大黒柱) 2,800万円
母親・配偶者(一家の支柱に準ずる者) 2,500万円
子ども・高齢者 2,000~2,500万円

 
そのため、未成年の子どものいる4人家族で、父親が交通事故の被害者になって亡くなった場合は、2,800万円が慰謝料として支払われます。
 
弁護士費用保険(権利保護保険)を利用しており、かつ、弁護士費用が300万円に収まれば、2,800万円の慰謝料を全額受け取れるということです。
 

交通事故に遭った時に弁護士費用保険(権利保護保険)を利用するデメリット

弁護士費用保険(権利保護保険)を利用することにはデメリットがあると思われるかもしれません。
特に、保険等級が下がったり、保険料が値上がりしてしまうのではないかと懸念されるかもしれません。
しかし、弁護士費用保険(権利保護保険)を使っても、保険の等級は下がりませんし、保険料が値上がりすることもありません。
 
また、保険会社から紹介された弁護士に依頼しなければならないとか、LACに紹介された弁護士に依頼しなければならないといった縛りもありません。
弁護士費用保険(権利保護保険)を利用しても自分で弁護士を選ぶことができます。
 
そのため、デメリットはありません。
 

まとめ

交通事故のトラブルや示談交渉などで弁護士に相談したり依頼する時は、弁護士費用保険(権利保護保険)を利用すれば、弁護士費用の心配がなくなります。
さらに、LAC基準で報酬を受け取る弁護士ならば、報酬や費用が高額になる心配はなく、更に安心して依頼することができます。
弁護士費用保険(権利保護保険)やLACについて、疑問点や分からないことがあるときはお気軽にお問い合わせください。

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